長谷川恭一さんの「子供のための合唱組曲」

盛岡の街に長谷川恭一さんという作曲家がいます。お会いした印象はふんわりと光りのベールにつつまれた不思議な方です。

はじめてお会いしたとき、長谷川さんの手には「よいお天気の日に」の数編が、合唱曲としてセレクトされていました。

師の武鹿先生(童話作家で童謡詩人)に「方言詩は、地元の方に作曲してもらうといいわね」と言われ、誰かいないかしらと友だちにいうと、「わたし、知ってる」と長谷川さんの存在を知りました。

電話をすると、長谷川さんは少しびっくりされました。そのときすでに長谷川さんはある小学校の依頼で、わたしの詩に曲をつけていたのです。もう3年も前のことですが。

あれから震災があり、2年の月日がながれました。

去年の暮れ、もうすぐ出来上がりますよ。とハガキをもらいました。1月になってA4に拡大コピーされた「よいお天気の日に」が手もとに届く。ずしりと手応えのある楽譜でした。

ところが、こんこんちきの私は楽譜が読めないときている。そんな私を気の毒におもってか「弾いてあげますよ」といわれる。それで、あつかましくも友だちとふたり、自宅に伺うことに。

長谷川さんのお宅には、チェンバロとグランドピアノがあり、かわいい5歳のお孫さんがいっしょにお茶をしてくれた。

「ひとつの星」「アリンコの文明」「んだらなんす」「夜間トラック」「やさいばたけのうた」「よいお天気の日に」の「子供のための合唱組曲」全6曲を、長谷川さんの歌入りで聴かせてもらう。

昨年、お母様を亡くされて、「よいお天気の日に」がより身に沁みたという。深い想いが曲のなかに流れているのが、私にもわかる。

むかし都会から田舎に戻って山の中で暮らしていたとき、近所のおばあさんが亡くなった。

すこーんと抜けるような青空の日だった。小さな村でどこにも出ずに一生涯を閉じるひとりの女の人生を想い、ふと湧いた「よいお天気の日に」という詩。

どの曲もちがう色合いで作曲されていた。なかでも「夜間トラック」は、星空の世界に飛び立って行く夢幻の世界が楽しく描かれていて嬉しくなった。音楽って、なんて素敵なのでしょう。いっぺんにその世界にいざなってくれる。

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