篁さんちのカツオパーティー
この季節になると篁さんちのカツオパーティーを今か今かと、待ち望んでいた。
5月の初めに唐突に訃報が入った。とても信じられなかった。2月にいつものメンバーで遅ればせの新年会を滝沢でし、篁さんは変わらずにお元気だったのに。
美食家で自分で料理の腕をふるい、私たちに美味しいお酒と新鮮このうえないカツオを目の玉がおっぴろがるぐらい豪快に盛りつけ、ほんとうに楽しい夜をすごさせてもらった。
木漏れ日のさす広い居間の壁面は、吹き抜けの天上まで書籍で埋まり、文学、メディア、社会情勢など、幅広い知識と教養の人だった。それを、おくびにも出さず、私たちのたわいもない話に「お〜っ」と相づちなどうって喜んでいた。
こんなに早くさよならしてしまうなんて。悔やまれてならない。もっと本のはなし、詩のはなしをしたかった。それを口にするのも憚れるほど大きな人でもあったのだけれど。(合掌)