「たしなみについて」白州正子
ほんのちょっと前に白州正子がまだ若かった頃の著作「韋駄天夫人」を再度読み返し、やっぱりこの人すごいなあと思う。街にでて今日は何冊かゲットしようと本屋さんでうろついていたら、白州正子の新しい新書が目にとびこんできた。
「た し な み に ついて」河手書房新書
わたし失敗しないんでという決め台詞のように、本選びには失敗しない。まず、最初のページを開いて数行読む。すっとひきこまれたら、次にぱらぱらっと開いて目にとびこんできた一行を読む、その一行にはっとするような言葉が埋め込まれていたらもう否応無く買ってしまう。
まあ、ありとあらゆるところで失敗だらけのこんこんちきなのだが、本だけはすっとわたしの前に立ち現れてくれる。今回はまたまたいい本に出会った。ちなみにこの本がいつ書かれたものかと調べたら1948年38歳4月とある。その年の11月に上記の「韋駄天夫人」を書いている。
1946年(昭和21年)白州正子小林秀雄、青山二郎と出会う。とあるから、美についても文学についてもほんのかけだしの時期。なんという才気。まったく古さを感じないし、目をみはる新しさがある。そしてこの人の深いところの人間にたいするやさしさがにじんでいるのに気づく。