「遠い山なみの光」カズオ・イシグロ

遠い山なみの光

 

どしゃ降りの雨です。雨の音に躰がつつまれ、ちょぴり幸せな気分。不思議ですね。なぜか、むかしからからそうでした。

羊水の中で、ぷかぷかしていたからなのでしょうか。

守られ、心臓の音だけがとくんとくんと波打って、細胞が規則正しく増築されていく。いのちそのものだけの営み―—

 

なんと一ヶ月も本のこと書いていませんでした。

この間に読んだ本は、いつもと変わらぬペース。どんなに忙しくても本だけは読む。まあ、車とガソリンの関係ですね。みんな、それぞれ、これだけはないと生きていけないというものがある。良いも悪くも関係なく。

目を見張るほど、なんでえー?と思うこともたびたびですが、人の世の中に甲乙はなし。なんでもありですね。

そういうことが、年を重ねることで徐々にわかってきました。

だから、大手を振って、好きな事をしなさい、ですね。

ハナニラ

「遠い山なみの光」、一ヶ月前に読んで、そのことさえ忘れていた。とすると、それほど印象の強い内容の本ではないのか。いやいや、絶妙な会話の本である。

イシグロの本、本屋さんで最初に一冊見つけ、その後たびたび「カズオ・イシグロありませんか?」と訊ねたせいか、何冊か入るようになった。(テレビにも出たしね)このときは一番読みたいと思っていた「わたしを離さないで」もあったが、それは次の楽しみに残し、他の2冊を買った。山本一力「江戸は心意気」と、銀色夏生「ひとりが好きなあなたへ」。

遠い山なみの光」(早川書房)は、二人の女の回想が軸になっている。まったく違う立場の女が時を経て、運命がシンクロする様を静かなカメラワークで、浮き彫りにしていく。解説の池澤夏樹は「文学が普遍的な人間の心の動きを扱うものである」ことを証明した本。と書いている。

 

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