ありし日の前浜
この写真は2010年12月21日に撮影したもの
松林 のむこうに堤防があり、そのむこうに十府ガ浦の海
東屋を下りて
鮭が遡上しカワセミが飛んでいた川。むこうの森は野鳥の住処だった
青い山の下に見えるのは村を守るための水門
堤防に添った松林と、マレットゴルフ場(?)の芝をはさんで並列につづいていた松林の森。
子どものわたしがいた大事な、思い出の場所。
どこまでもどこまでもうっすらと暗い松の林
津波の3ヶ月前。
波は防波堤を壊し、2つの松林をなぎ倒し、鉄道をめちゃめちゃにし、バイパスを乗り越えて、村の町並みを一掃した。
8ヶ月が過ぎて、野田村の復旧は急ピッチを増している。ひと月前にくらべてそれは目に見えるほどあきらか。
さて、きょうは野田玉川へ軽トラの冬タイヤをもらいに行ってきた。
道中バイパス沿いに見える前浜は、みちがえるようにきれいになっていた。
散乱していた松や残骸が整然と取り除かれ、ところどころに三角形に積み上げられた松の丸太が見える。この松を利用しようとプロジェクトが立ち上がったそうだ。
壊れた防波堤もとりのぞかれ、そのむこうにうっすらと青い海がみえる。散乱したものがなくなったせいか、当時あった芝の広場や遊歩道や松林のひろびろとした面影がやっとみえるようになった。
積み上げられていた瓦礫の山も時間の経過とともに仕分けされ、鉄くずやコンクリート、針金と分類がされている。悲惨だった風景に、どこかしらさわやかな風が吹き込んでいるようなかんじ。あの情景も人の手でこんなふうに片付いて前進していくのだ。腹の底ですごいなあと思う。ほんとにそう思う。
親戚のおばさんは89歳。家は一階が波をかぶり、取り壊しになった。
おばさんは日々の自分の暮らしを守るため、友人や知人がいる同じ場所に新しい家を建てるという。
それもまた、すごいなあと思う。ささやかな幸せこそ大事、そんなことをしみじみと教えられた8ヶ月。