『人はなぜ「美しい」がわかるか』橋本治

わたしの原風景が大震災の津波で、一瞬のうちに消えてしまった。

五感をふるにふくらませてくれた野田村の風景と風物。

 

高橋治の新しい新書を紹介しようと思っていた矢先震災に見舞われた。タイトルが若干、不謹慎なので、数年前に読んだ附箋いっぱいの、『人はなぜ「美しい」がわかるか』を紹介します。

とてもおもしろい本です。始めから終わりまで何遍も読み返してしまう本です。

これぞ、橋本治というキーワードがきらきらときらめいている本です。難しくないので、ぜひぜひ手にとって読んでください。

子どもを育てるとき、この本は一つのバイブルとなるでしょう。へたな子育ての本よりずっとためになる本です。若いお母さん、お父さん、ぜひ読んでね。

『人はなぜ「美しい」がわかるか』橋本治 ちくま新書

「美しい」は,直接的にはなんの役にもたたない発見です。直接的にはそうですが、しかし、「美しい」には重大な役割があります。それは、「自分とは直接に関わりのない他者」を発見することです。

「ものを作る」という作業は葛藤を不可避として、葛藤とはまた、「時間」の別名でもあります。「時間をかける」とはすなわち、「自分の都合」だけで生きてしまう人間の、「思い込み」という美しからぬ異物を取り去るための行為なのです。///機械化による大量生産は、ものを作る人間から、「ためらい」という時間を奪いました。ものを作りながら、「ためらい」という研磨剤でろくでもない「思い込み」を削り落とし、「完成=美しい」というゴールへ近づけるプロセスを排除してしまいました。

大切なものとはなにか? 大切なものを発見するためには、大切なものとつきあわなければならない。////「美しい」を教えたかったら、もっとちゃんと子供につきあってやればいいのにと、私は思うだけです。

 

 

 

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